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ケーゲルだけでは足りない ― 骨盤底筋ケアの3つのステップ

ケーゲルだけでは足りない ― 骨盤底筋ケアの3つのステップ

「骨盤底筋には、まずケーゲル(締める運動)」。そう思って続けているのに、なかなか変化を感じにくい——そんな経験はありませんか。

実は、骨盤底筋ケアは「締める」だけではうまくいかないことがあります。この記事では、骨盤底筋ケアを「感じる → 鍛える → 日常へ」という3つのステップに分けて、基本的な進め方をやさしくお伝えします。

よくある「ケーゲルだけ」の落とし穴

ケーゲル(骨盤底筋を締める運動)は、骨盤底筋ケアの基本です。ただ、「ただ締めればいい」というわけではありません。

古くから知られている研究では、簡単な口頭の説明だけでケーゲルをしてもらったところ、正しく収縮できていた人は約半数にとどまり、さらに約4人に1人は、かえって逆効果になりかねないやり方をしていた、と報告されています(出典1)。

うまくいかない背景には、こんな「つまずき」があります。

感覚がつかみにくいままでは、トレーニングの動きも分かりにくく、日常の中でも意識しにくいことがあります。だからこそ、「締める」の前と後にあるステップが大切になります。

ステップ1:まず「感じる・気づく」

最初のステップは、締めることではなく、骨盤底筋の存在に「気づく」こと。

骨盤底筋は体の奥にあり、目で確認しにくく、ふだんは意識しにくい場所です。まずは、呼吸に合わせてその動きを感じることから始めましょう。息を吸うとゆるみ、吐くときにそっと引き上がる——この感覚をつかむことが、ケアの土台になります。骨盤底筋は、呼吸や姿勢とも連動して働くことが知られています(出典2)。

なお、「おしっこを途中で止める」動作は、感覚を確かめる手がかりにはなりますが、くり返し練習にするのは避けましょう。習慣にすると、排尿の妨げになることがあります。感覚がつかみにくいときは、横になった姿勢から始めると分かりやすいことがあります。

「感覚がつかみにくい」という人も、めずらしくありません。ここで焦らず土台をつくっておくことが、次のステップで生きてきます。それでも感覚がつかめないときは、骨盤底筋を専門にみている理学療法士などに相談する方法もあります。

ステップ2:正しく「鍛える」

感覚がつかめてきたら、次は正しく動かしていくステップです。

ポイントは、骨盤底だけをそっと引き上げること。「エレベーターを下から上へゆっくり引き上げる」「蛇口をそっと締める」といったイメージがよく使われます。

このとき意識したいのは、次の3つ。

また、骨盤底筋には、瞬間的に締める「速い動き」と、数秒キープする「ゆっくりした動き」があり、一般的なトレーニングでは、この両方を組み合わせるとされています(出典3)。

ここでつまずきやすいポイントのひとつが、呼吸です。力を入れようとして、つい息を止めて“いきんで”しまう——これは負担につながることがあるパターンです。おなか・横隔膜・骨盤底は、ひとつの“筒”のように連動していて(出典2)、息を止めて下に押し込むと、骨盤底はむしろ下に押されてしまいます。コツは、吐く息に合わせてそっと引き上げること。息は止めず、自然に続けるのが基本です。

そして意外と見落とされがちなのが、締めたあとに「しっかりゆるめる」こと。締めることと同じくらい、ゆるめることも大切だと考えられています(出典3)。回数や強さを増やすより、まずは動きをていねいに意識することが先です。

ステップ3:「日常の動き」につなげる

骨盤底筋の動きを意識しやすくなってきたら、次は日常の動きの中でも取り入れていくステップです。

ただ、日常の動きでは、立つ・歩く・持ち上げるなど、体に負荷がかかる場面が多くあります。だからこそ、いきなり立った姿勢で頑張るより、はじめは横になった姿勢がいちばん感じやすく、慣れてきたら座る・立つ、そして歩く・しゃがむといった動きへ——と少しずつ進めていくのが一般的とされています。

たとえば、咳・くしゃみ・重いものを持つ・走って着地する——そんなふうにお腹に力が入る“前”に、あらかじめ骨盤底をそっと引き上げておく方法があります(「ザ・ナック」と呼ばれます)。トレーニングの時間だけでなく、日常の動作や姿勢の中でも意識しやすくなることを目指します。

ただし、一日中ずっと力を入れ続ける必要はありません。必要なときに、さっと使えることが目的です。

大切なのは「自分のタイプ」に合わせること

ここまで「感じる → 鍛える → 日常へ」という流れを見てきましたが、もう一つ大切な視点があります。それは、骨盤底筋は「締めること」だけが正解ではない、ということ。

意外に思うかもしれませんが、骨盤底筋がゆるくて弱っている人もいれば、反対に、ふだんから緊張しすぎて、うまくゆるめられない人もいます。後者のタイプは、締める練習を重ねるほど合わないこともあり、進め方はむしろ“反対”になります。ふだん無意識におなかを締めている、力が抜きにくい——そんな心当たりがある場合は、進め方を一度見直してみるとよいでしょう。

注意したいのは、この“タイプの違い”は、自分ではなかなか見分けがつきにくいことです。だからこそ、やみくもに始める前に、自分が今どんな状態・タイプなのかを知り、それに合わせて進めることが大切です。

(関連記事:「骨盤底筋は『締める』だけじゃない ― 締めすぎ・緊張タイプの見分け方」/「骨盤底筋トレーニングの基本」

Aevia の考え方

Aevia は、この「感じる → 鍛える → 日常へ」という流れと、一人ひとりの状態に合わせた進め方を大切にしたセルフケアツールです。「ただ締める」のではなく、自分に合った順番で、無理なく続けられることを目指しています。

こんなときは

トレーニング中に痛みや違和感があるときは、無理をせず中止してください。また、気になる症状があるときや、妊娠中・産後・治療中の方は、始める前に医師などの専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. ケーゲルは効果がないということ? いいえ。ケーゲル(締める運動)は基本として大切なケアのひとつです。ただ「ただ締めるだけ」では十分でないことがあり、感じる・正しく鍛える・日常へつなげる、というステップで考えるのがおすすめです。

Q. 1日にどのくらいやればいい? 回数よりも「ていねいに・毎日少しずつ」が基本です。速い動きとゆっくりした動きを組み合わせ、締めたあとは同じくらいしっかりゆるめる。これを無理のない範囲で習慣にしてみてください。

Q. どのくらい続ければいい? 必要な期間には個人差があります。回数や期間にとらわれすぎず、「ていねいに・無理なく続ける」ことを大切にしてください。

Q. 妊娠中・産後でも同じ進め方でいい? 体の状態は人によって違います。妊娠中・産後の方は、始める前に医師や助産師などに相談すると安心です。

Q. 自分のタイプが分からない。 まずは今の状態を知ることから始めてみましょう。タイプによって、合いやすいケアの進め方は変わってきます。

出典

  1. Bump RC, Hurt WG, Fantl JA, Wyman JF. “Assessment of Kegel pelvic muscle exercise performance after brief verbal instruction.” Am J Obstet Gynecol. 1991;165(2):322–327; discussion 327–329.(口頭の説明だけでは正しく収縮できていない人が少なくない)
  2. Hodges PW, Sapsford R, Pengel LHM. “Postural and respiratory functions of the pelvic floor muscles.” Neurourol Urodyn. 2007;26(3):362–371.(骨盤底筋と呼吸・姿勢の連動)
  3. Park SH, Kang CB. “Pelvic floor muscle exercise and training for coping with urinary incontinence.”(レビュー)J Exerc Rehabil. 2021;17(6):379–387.(速い動き・ゆっくりした動きの組み合わせ、および収縮後にしっかりゆるめることの大切さ)
  4. Dumoulin C, Cacciari LP, Hay-Smith EJC. “Pelvic floor muscle training versus no treatment, or inactive control treatments, for urinary incontinence in women.” Cochrane Database Syst Rev. 2018;(10):CD005654.(骨盤底筋トレーニングの有効性)

タイプによって、合いやすいケアの進め方は異なります。

あなたの状態・タイプを知る

Aevia はセルフケアのためのトレーニングツールであり、医療機器ではありません。診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関にご相談ください。